MVNOのギモンを解消!

MVNOとは
その魅力と特徴をチェック

格安スマホの話題で出てくる「MVNO」というキーワード。そんな「MVNO」について、「よく知らない」、あるいは「なんとなくはわかっているけど正しく理解しているかどうかは自信がない…」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、MVNOが具体的にどのようなものなのか、どんなメリット・デメリットがあるのかについて解説していきます。

MVNOって何?

MVNOは自前の設備を持たない通信事業者

「MVNO」はMobile Virtual Network Operatorの略で、日本語訳は「仮想移動体通信事業者」です。自前の通信設備を持たずに、他の通信事業者(NTTドコモ/au/ソフトバンク)から携帯電話回線網等を借りて、自社ブランドのスマートフォンやSIMカードを販売している事業者を指します。
MVNOという仕組みを利用することで、新規参入事業者は通信設備の設置にかかるコストや時間を削減でき、回線を貸し出す通信事業者はレンタル料を得られる、というわけです。
近年、MVNO事業者の数、および契約数は着実に増加しており、MVNO事業者をまとめて考えれば、NTTドコモ/au/ソフトバンクの3大携帯電話事業者に次ぐ、新勢力と言っても過言ではないでしょう。

MVNOが増加した理由は「SIMロック解除の義務化」

MVNOの増加の背景には、2015年5月1日以降に発売された端末を対象に開始された「SIMロック解除の義務化」や、「格安スマホの登場」などが挙げられます。従来、3大キャリアの携帯電話やスマートフォンとSIMカードはキャリアごとに紐付けがされており、他社のSIMカードは利用できないようになっていました。このような状態を「SIMロック」と言います。
しかし、ユーザーからの要求があった場合はSIMロックを解除しなければならない「SIMロック解除の義務化」によって、自由にSIMカードを選べるようになり、それが格安SIM需要の増加やMVNOの増加につながりました。

格安スマホの存在も理由のひとつ

「格安スマホの登場」も、MVNO増加の大きな要因です。総務省の指導によって、いわゆる「実質0円」端末がなくなったことから、スマートフォン端末は以前と比較してかなり高価なものになってしまいました。そこで、端末価格が安い上に、SIMロックが最初からかかっていないSIMフリーで、自由に安いSIMカードが選べる格安スマホに注目が集まり、結果としてMVNOの増加につながった、というわけです。

MVNOの利点は豊富なデータ通信のプラン

MVNOの利用料金におけるメリットは、「データ通信プランが豊富に用意されている」ことでしょう。データ通信プランでは、月間データ容量の異なるさまざまな料金プランが用意されているので、自分の利用形態に合ったプランを選べば、適切な月額料金でスマートフォンを利用できます。
MVNO事業者は、携帯電話回線を借りることで設備投資を安く抑えられるため、比較的安価に携帯電話サービスを提供できます。これが、格安スマホや格安SIMが安く提供されている理由のひとつです。

MVNO料金プランの注意点

MVNOを利用することで、スマートフォンの月々の利用料金を安く抑えられる可能性はありますが、3大キャリアと比較して何から何まで安くなるわけではないので注意が必要です。MVNOではいわゆる「通話定額プラン」の内容が3大キャリアとは少し異なっていたり、そもそも提供されていない場合もあったりするため、頻繁に通話を行う場合は月々の利用料金が高くなってしまう可能性もあるためです。

3大キャリアと変わらない利用可能エリアも魅力

MVNOは、3大キャリアの回線を利用しています。そのため、MVNOでも3大キャリアと同じエリアで利用することができ、また、3大キャリアはすでに日本のほとんどのエリアをカバーしているので全国で利用可能です。利用可能エリアが3大キャリアと変わらない点は、MVNOの大きな魅力だと言えます。

MVNOをおトクに使うには?

キャンペーンやサービスで初期費用を節約

MVNOを利用したからといって、必ずしも初期費用や月々の利用料金が安くなるわけではありません。MVNOを利用して価格を抑えたいときには、適切な料金プランを選択したり、それぞれのMVNOが実施しているおトクなキャンペーンやサービスを利用したりすることが必要です。
また、スマートフォンを契約する場合、初期費用として「契約事務手数料」がかかります。初回のみではありますが、3,000円~4,000円ほどと決して安くはありません。しかし、MVNOの中にはこの契約事務手数料が無料になるパッケージを用意したり、キャンペーンを実施したりしているところも少なくないので、そのようなMVNOを選べばより安価にスマートフォンを使い始められるでしょう。

データシェアが可能なMVNOも

MVNOの中には、3大キャリアのようにデータ通信量を家族で分け合える、シェアプランを用意しているところもあります。家族で同じMVNOを利用するなら、こうしたプランを利用しない手はありません。また、同じMVNOを利用している友人に、データ通信量をプレゼントできるサービスを用意しているMVNOもあります。

何が「使い放題」なのかを確認しよう

MVNOの中には、データ定額つまり「使い放題」をうたっている事業者も多いですが、MVNOによって「使い放題」の内容が異なる場合があるので注意が必要です。
一般的には、MVNOでの「使い放題」と言えば一定金額で制限なしにデータ通信を利用できるデータ定額を指します。しかし、MVNOの中には特定のSNSや動画配信サービスによる通信はデータ通信量としてカウントしない、一部アプリのみの「使い放題」を指す場合もあるので、必ず事前にどのような利用が「使い放題」なのかを確認してください。

MVNO豆知識

MVNOへもMNPできる

3大キャリアからMVNOへの移行には、MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)が利用可能です。つまり、電話番号を変更することなく、MVNOへ移行できます。
3大キャリアからMVNOへのMNPは、3大キャリア間でのMNPとまったく同じです。まずは自分が契約している携帯電話やスマートフォンのキャリア直営ショップに行くか、窓口に電話をかけて「MNP予約番号」を発行してもらいます。続いて、ショップやインターネットなどで格安SIM、または格安SIM+格安スマホを購入し、必要な手続きを行えばMVNOへの移行は完了です(格安SIMだけを購入する場合は、別途、「SIMロックを解除した端末」か「SIMフリー端末」が必要となります)。
なお、MNP予約番号を取得した場合は、15日以内に携帯電話会社の移行手続きを行う必要があります。忘れずに手続きを行うようにしましょう。

MNPによって失うものも

MNPによって、携帯電話番号はそのままの状態でMVNOへ移行できますが、失ってしまうものもあります。その中でも、もっとも注意が必要なのが、携帯電話会社が提供しているメールサービス=キャリアメールのアドレスです。
これはMVNOに限らず、MNPでは共通して発生することですが、従来のメールアドレスが使えなくなることを理解した上で、MNPを行うようにしましょう。

MNPでは、ほかにもキャリア決済サービスや家族向け割引サービスなど、その携帯電話会社のユーザーを対象にしたサービスや割引が利用できなくなってしまいます。さらに、解約のタイミングによっては、分割払いにした端末代金の一括清算が求められたり、長期加入を前提にした割引の解約費用が求められたりするなど、思わぬ出費が発生する可能性もあるので、解約の際に費用が発生しないか、もし発生するならどれくらいの金額がかかるのかを十分に確認してください。

テザリングはSIMと端末の両方を確認

これまでテザリング(スマートフォンを経由して、タブレット端末など他の機器をインターネットに接続すること)を利用しており、MVNOでも引き続きテザリングを利用したい場合も注意が必要です。
MVNOのSIMカード自体はテザリングを利用可能なものであっても、スマートフォン側がテザリングに対応していない場合もあるので、事前にしっかり確認しましょう。

通信速度は3大キャリアに劣る場合も

MVNOは3大キャリアの回線を利用しているので、通常は3大キャリアと同様の通信速度で利用できます。ただし、MVNOは回線を借りている立場のため、通勤・通学の時間帯や、お昼休みなど、スマートフォンの利用が多くなる時間帯での通信速度の低下は避けられません。
また、直近3日間のデータ通信量が一定値を超えた場合に通信速度を遅くする、通信制限を行うMVNOも存在します。同じ回線を使っているとはいえ、通信環境は必ずしも3大キャリアと同じではないことを理解した上で、MVNOを利用してください。

その他のデメリット

ほかにも、データ通信は割安なものの、通話に関してはそれほど安価ではなく、通話定額サービスを提供していないMVNOもある点は、MVNOのデメリットと言えるでしょう。また、3大キャリアのような実店舗を持たないMVNOがほとんどで、サポートの面でもあまり期待はできません。

ポイントまとめ

MVNOを利用することで、料金プランの選び方によっては月々の利用料金をこれまでよりも安くしたり、格安スマホと組み合わせて利用したりと、スマートフォンの利用にかかるコストを抑えられる魅力がMVNOにはあります。
とはいえ、MVNOにはできないこと、MVNOならではのデメリットもあるので、その特徴を理解した上で利用することが重要です。

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2022年7月8日時点の記事です。一部最新の内容と異なる場合があります。